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【その①】官民連携プロジェクトを成功させるためのポイントは?うまくいかない事例が多い理由も解説

#まちづくり#地域おこし#地域活性化#官民連携#社会貢献

Panoramic teamwork business join hand together concept, Business

近年、まちづくりや地域活性化、社会課題の解決において、官民連携(Public Private Partnership:PPP)の取り組みが注目を集めています。しかし、実際のプロジェクトでは、様々な課題に直面してしまい、期待通りの成果を出せないケースも少なくありません。この記事では、官民連携プロジェクトの現状と課題、そして成功に導くためのポイントを詳しく解説します。

なぜ今、官民連携プロジェクトが増えているのか

現在、官民連携プロジェクトが増加している背景としては、大きく3つの社会的要因があります。

行政の財政逼迫

超高齢化・人口減少社会が本格的になり、多くの自治体で税収が減少傾向にあります。その一方で、高齢化に伴う社会保障費は年々増加し、老朽化したインフラの維持管理コストも自治体財政を圧迫しているという、一言でいうなら「大ピンチ」の状況です。このような状況下で、行政単独でさまざまな事業を実施するのは困難になってきているのです。そのため、民間のリソースやノウハウを活用した新しい官民連携の形が求められています。

社会課題の複雑化

ひと昔前の行政課題といえば、道路整備や公共施設の建設など、比較的シンプルなものが中心でした。しかし今では、少子高齢化対策、地域コミュニティの再生、環境問題への対応など、単一の組織やこれまでの手法では解決が困難かつ複雑な課題が増えています。こうした課題に対応するためには、行政のみならず、企業、NPO、地域住民など、多様な専門知識やノウハウを組み合わせることが必要不可欠となっているのです。

市民ニーズの多様化

インターネットの普及や価値観が多様化していることで、市民が求める公共サービスの質も大きく変化しています。画一的なサービス提供ではなく、地域の特性や個々のニーズに応じたきめ細かい対応が求められるようになってきました。また、行政サービスの受け手としてだけでなく、まちづくりの担い手として参画したいという市民や企業の声も高まっています。このようなニーズの変化に応えるためにも、官民連携が注目されているのです。

成功事例に見られる共通ポイント

明確な目標設定と役割分担

官民連携プロジェクトが成功するための最も重要なポイントは、「関係者全員が共有できる明確な目標設定」です。例えば、よくありがちなダメな目標は、「まちの賑わいを創出する」というもの。漠然とした目標ではなく、「◯◯通りの週末の歩行者の通行量を現状の1.5倍にする!」「この街での滞在時間をひとり平均30分増加させる!」といった具体的な目標(KPI)を設定することで、プロジェクトの方向性が明確になります。

また、行政と民間それぞれの強みを活かした役割分担も重要です。行政は規制緩和や地域との調整役として動き、民間は事業運営やマーケティングを担当するなど、それぞれの得意分野に focus することで、プロジェクト全体の効率が高まります。

効果的なコミュニケーション体制

成功プロジェクトに共通しているのが、効果的なコミュニケーション体制の構築です。プロジェクトの規模等にもよりますが、月1回の形式的な報告会だけではなく、週次での進捗共有や、意思決定が必要な際の臨時ミーティングなど、柔軟な対話の機会を設けることが重要です。

問題が発生した際の早期共有と解決に向けた協議の仕組みも最初から作っておくと良いです。行政と民間では意思決定のスピードや手続きがびっくりするほど異なるため、あらかじめ「このような場合はこうする」という対応フローを決めておくことで、問題が起きた時もスムーズな解決が可能になります。

「誰でも使えるコミュニケーションツールだし、気軽に情報共有や進捗が可能だから」という理由でプロジェクトの関係メンバーでLINEグループを作るケースも多いですが、関わる人数が多い場合にはオススメしません。LINEは重要な話題であってもどんどん流れていってしまってメッセージを見逃すことが多々あるからです。誰がどこまでメッセージを読んで反応したかがわかりやすいツール(例えばChatworkなど)を検討した方が良いですよ。

柔軟な運営体制

官民連携プロジェクトの成功事例に共通しているもう一つの特徴が、状況に応じて柔軟に計画を修正できる運営体制です。今はとても不確かな時代です。社会情勢の変化や予期せぬ課題の発生は避けられません。そのため、定期的な計画の見直しや、必要に応じて柔軟に軌道修正ができる体制を整えておくことが重要です。

例えば、四半期ごとの振り返りミーティングを設定し、そこでPDCAサイクルを回す。また、小規模な実証実験を重ねながら段階的にプロジェクトを展開するなど、試行錯誤を許容する文化を築くことで、より良い成果につながっていくと思います。

PDCAサイクルを回すというのは、企業ではわりと当然のように行われていることであっても、地方の行政機関等ではそこまで意識してプロジェクトを動かしたことがなかったりもします。反応を見て柔軟に軌道修正していくという認識をメンバーで持つことが大切です。

失敗事例に見られる共通の課題

目的の不一致

官民連携プロジェクトが頓挫する最も大きな要因の一つは、「関係者間での目的意識の不一致」です。例えば、行政側が「地域コミュニティの活性化」を重視する一方で、民間事業者は「収益性の確保」を優先するなど、根本的な部分でのミスマッチが生じることがあります。

特に問題となるのは、このような認識の違いが事業開始後に表面化してくるケースです。事前の議論で「一緒に地域活性化をやっていきましょう」という大枠では合意していても、具体的な成果指標や時間軸について十分な擦り合わせができていないことで、後々大きな軋轢を生むことになります。

行政と民間企業では全くその存在意義が異なります。両者の思惑をうまくすり合わせて共通認識をできるだけ具体的にすり合わせて行いと、後々「思ってたんと違う」となりますのでご注意を。

コミュニケーション不足

「月例会議を設けてるから大丈夫」と思っていても、ちゃんと対話しているかどうかは別問題。定期的に形式的な会議は実施していたとしても、実質的で中身のある対話が不足しているケースは多々あります。特に問題なのは、困りごとや懸念事項を早期に共有する文化が醸成されていない状況です。「行政に相談しても手続きに時間がかかるから」「民間事業者に言っても理解してもらえないだろう」という先入観が、必要なコミュニケーションを妨げてしまうのです。

また、プロジェクトの進捗状況や課題が地域住民や関係者と適切に共有されないことで、誤解や反発を招くケースも少なくありません。透明性の高い情報共有の仕組みづくりが重要です。

特にまちづくりや地域活性化のプロジェクトでは、地域住民の理解を無視すると大変なことになります。正直かなり面倒なプロセスではありますが、じっくり粘り強く情報を提供していく必要があります。しかも「地域住民への情報提供はSNSだけで大丈夫でしょ」と思うのは危険です。行政関係の広報誌や、紙媒体等で、さまざまな年齢層の方に配慮した情報提供手段を模索していきましょう。

実行力の不足

計画は立派でも、実行段階でつまづくプロジェクトは少なくありません。その背景には、例えば、以下のような要因があります:

  • PDCAサイクルが形骸化し、実質的な改善活動につながっていない
  • プロジェクトを推進する中核人材が不足している(メンバー全員が横並びの組織)
  • 予算や人員の制約により、必要な施策が実行できない
  • 初期の熱意が徐々に低下し、活動が停滞する

ここまでのまとめ

官民連携プロジェクトが増えているといえど、成功しているケースもあれば、失敗に終わるケースも多々あります。官(行政)と民(企業)では、その特色や存在意義、目指す価値が違うということを前提に連携していく必要があります。官民連携では、企業同士のコラボとは違う難しさもありますが、うまく実行することで、大きなWin-Winを産む可能性もあります。

次の記事では、「なぜ官民連携は難しいのか?」「成功に導くための具体的アプローチ」についてお話しします。

お気軽にご相談ください

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官民連携プロジェクトの企画・運営にお悩みの方は是非ご相談ください。すでに実行中のプロジェクトでもOKです。よりスムーズかつ関係者のwin-winな活動に向けてアドバイスいたします。

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    この記事の著者

    合同会社きらりすと 代表 内原絵美

    千葉大学法経学部総合政策学科卒業。群馬県出身。
    製薬会社・広告代理店での経験を経て、2015年にファッションブランドを立ち上げ起業。「第2回創業スクール選手権」にてビジネスプランが最優秀賞「経済産業大臣賞」を受賞。ビジネスの傍ら、地方創生やまちづくりにも携わる。
    2020年に女性起業支援プロジェクト「Lady★Go」を行政と共同で立ち上げ、全体統括・企画・プロデュースを担う。
    現在は、大手企業へのPR戦略立案やライティング、地域資源を活用した新規事業開発など、幅広いコンサルティング事業も展開。全国各地で起業・キャリアに関する講演活動も精力的に行っている。

    “【その①】官民連携プロジェクトを成功させるためのポイントは?うまくいかない事例が多い理由も解説” への1件のコメント

    1. […] 前回の記事では、「なぜ今、官民連携プロジェクトが増えているのか」「成功事例に見られる共通ポイント」「失敗事例に見られる共通の課題」について解説しました。その続きとなる […]

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