地域活性化やまちなか再生はなぜ難しいのか、賑わいの創出を目標に掲げてはいけないワケ | 合同会社きらりすと

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地域活性化やまちなか再生はなぜ難しいのか、賑わいの創出を目標に掲げてはいけないワケ

#まちづくり#地域活性化#官民連携#賑わいの創出

「賑わいの創出」という曖昧な目標で本当に変われるのか

日本の地域は少子高齢化が進み、これまでまちなかとされてきたエリアも閑散としているケースが多い。地方自治体や行政では、まちなか再生、地域活性化が必要だと謳って、そこにたくさんの税金を投入して変えようとするケースもある。しかし、単発の税金投入だけではうまくいくはずはない。しかも、よく使われるのが「賑わいの創出」というフレーズ。そのふわっとした目標でどう変えようと思っているのだろうか?そもそも、時代が変わったのに、昔の賑わっていたまちなかを本当に再生させる必要はあるのか疑問は残る。地域活性化、まちなか再生の意義と目的を考えていきたい。

まちづくりはビジネスと同じ、状況分析が不可欠

まちづくりや地域活性化プロジェクトの役割分担として、行政は皆で向かうべき大きな地図を描くだけで、実際のアクションはその地に住まう人が行うべきだと思っている。なぜなら、行政担当者はほんの数年で部署移動が行われるケースが多く、地域活性化担当やまちづくり担当者がプロジェクトの途中で変わることも珍しくないからだ。メイン担当がコロコロ変わると、プロジェクトの目的や意思がうまく引き継がれることが少ないのが実情なのだ。

向かう方向を決める際には、状況分析が必要なのはビジネスと同じである。この状況分析がしっかり行われているケースが本当に少ない。だからこそ目標が、「賑わいの創出」というふわっとした言葉になってしまっているのだ。まちづくりもビジネスと同じなのだから、行政が難しければ(あまり得意でなければ)民間を巻き込み頼ることも必要不可欠だ。

外部の視点を取り入れる重要性

そのエリアに住まう人たちや商売をしている人たちで活性化プロジェクトを進めることは、一見理想的に思える。しかし、そこで必ず出てくる問題がある。それは、私利私欲や自分のメリットが出るように持っていきたいと考える人が現れ、偏ったプロジェクトになったり、関係者間で軋轢が生まれてくることだ。

これを打開するためには、プロジェクトリーダーや取りまとめる人を、外部から招聘するというアプローチが有効である。外部の視点を入れることで、より客観的で公平な判断が可能になり、地域全体の利益を考えた施策を実施しやすくなる。

まちづくりのプロフェッショナルとの出会いが成功の鍵

では、外部の人を入れて効率的にプロジェクトを動かしていきたいと思った時、誰に頼めばいいのだろうか。まちづくりや地域活性化の専門家と名乗る人は結構たくさんいるし、その人たちのバックボーンも多種多様だ。

選び方としては、まず、該当エリアの課題点や問題点をざっくりと挙げ、その解決にマッチしそうな専門家を選ぶことが重要である。例えば、閑散としたシャッター商店街を若手でビジネスをしたい人たちを誘致して盛り上げていきたいと考えるならば、経営や起業の知識にも明るい専門家の方がいいだろう。または、区画整理して新しいまちを作っていきたいと考えるならば、建築や都市計画系のバックボーンを持つ専門家がベストマッチとなる。

少子高齢化の進む日本で、昔のように商店街におせやおせやで人が集まるような光景は望めない。「起業者を増やしたい」「教育に注力してそこに住んでもらう若いファミリーを増やしたい」「まちなかの滞在時間を一人あたり30分増やしたい」「古い歴史的建築物が多くて災害には弱いが、観光資源として活用していきたい」「インバウンドの強い都市として、東京観光とセットで足を伸ばしてもらえるエリアにしたい」など、目的や課題は様々だ。だからこそ、その課題解決にマッチする専門家とうまく出会えるかどうかが、プロジェクトの成否を分ける重要な要素となる。

「楽しさ」がプロジェクトを動かす原動力

ビジネスも地域活性化も、プロジェクトに関わる人たちが楽しんでできるかどうかが一番大切だ。どんなに素晴らしいプロジェクトであっても、変わりたくない、一ミリも変えてほしくないと変化を嫌う地域住民というのは必ず存在する。反発やクレームも出てくるのは避けられない。全員から応援されて進むプロジェクトなんて存在しないのだ。

それでもプロジェクトを前に進めていく、その原動力となるのは、やはり「楽しさ」や「やりがい」である。プロジェクトメンバーがギスギスしていたり、集まることさえ苦痛だと感じるようになれば、そのプロジェクトは一旦解散した方がいい。

プロジェクトメンバーは、風通しよく、建設的な意見にあふれ、情熱で繋がっている、そんなプロジェクトであるべきだ。特に近年は、プロジェクトの過程もSNSで発信していくことが多くなってきている。プロジェクトメンバー同士の関係性は、意外と外にも見えるものだ。その様子は予想以上にスケルトンに見えてしまうため、メンバー間の良好な関係性づくりにも注意を払う必要がある。

まとめ:地域活性化は、明確な目標と「楽しさ」が成功への近道

地域活性化やまちなか再生は、「賑わいの創出」という漠然とした目標では決して成功しない。その地域が抱える課題を的確に分析し、具体的な数値目標や達成したい状態を明確にすることが不可欠だ。

また、行政だけでなく、地域住民や事業者、そして外部の専門家など、多様な立場の人々を巻き込んでいく必要がある。ただし、利害関係者が多いがゆえに意見の対立や軋轢が生まれやすい。そこで重要になってくるのが、プロジェクトに関わる人々の「楽しさ」や「やりがい」である。

プロジェクトメンバーが前向きに楽しみながら取り組める環境を作ることで、反対意見や障害にぶつかっても、それを乗り越えていく力が生まれる。地域活性化は、決して短期間で成果が出るものではない。だからこそ、長期的な視点で取り組めるチーム作りと、具体的な目標設定が重要なのだ。

そして何より、その地域に暮らす人々が本当に望む姿を実現することが、持続可能な地域活性化への近道となるだろう。時代は確実に変化している。過去の賑わいを取り戻すのではなく、新しい時代に即した、その地域ならではの魅力を創造していくことが求められているのだ。

この記事の著者

合同会社きらりすと 代表 内原絵美

千葉大学法経学部総合政策学科卒業。群馬県出身。
製薬会社・広告代理店での経験を経て、2015年にファッションブランドを立ち上げ起業。「第2回創業スクール選手権」にてビジネスプランが最優秀賞「経済産業大臣賞」を受賞。ビジネスの傍ら、地方創生やまちづくりにも携わる。
2020年に女性起業支援プロジェクト「Lady★Go」を行政と共同で立ち上げ、全体統括・企画・プロデュースを担う。
現在は、大手企業へのPR戦略立案やライティング、地域資源を活用した新規事業開発など、幅広いコンサルティング事業も展開。全国各地で起業・キャリアに関する講演活動も精力的に行っている。

“地域活性化やまちなか再生はなぜ難しいのか、賑わいの創出を目標に掲げてはいけないワケ” への1件のコメント

  1. […] な立場の人々を巻き込んでいくことが成功への近道となる(詳しくはこちらの記事へ:「地域活性化やまちなか再生はなぜ難しいのか、賑わいの創出を目標に掲げてはいけないワケ」)。 […]

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