ちょっと待った!起業前にこれだけは確認しておきたい10のチェックポイント

せっかくの夢の第一歩、出だしでつまづかないために。ちょっとだけ立ち止まって考えてみよう
起業は人生の大きな転換点です。自分の夢を実現し、社会に新しい価値を生み出すという素晴らしい機会である一方で、慎重な準備と計画が必要不可欠です。「やってみなければわからない」という気持ちはわかります。起業前の準備段階で時間をかけすぎて結局何年も一歩も踏み出せずにいるという状況は避けたいですが、事前の準備を怠ると、思わぬ落とし穴に陥る可能性があります。そのため、最低限のポイントは確認しておくといいですよ。
なぜ、起業前の準備が重要なのか?
統計(中小企業白書)によると、起業の約6割〜7割が5年以内に廃業するといわれています。その主な理由は、事前準備の不足にあると指摘されています。適切な準備があれば回避できたはずの問題で挫折してしまうケースが少なくないのです。
では、具体的にどんな準備が必要なのでしょうか? 個人事業主として開業する場合と法人として開業する場合、それぞれのチェックポイントを見ていきましょう。
【個人事業主、法人共通】まずはここから!起業前の基本の確認ポイント
個人事業主で起業する場合も、法人設立して起業する場合も、まず、共通して確認しておきたいポイントを挙げます。ここを確認・把握してない状態でビジネスを始めようとするのは、無謀だと思いますので、しっかり考えておきましょう。ただ、起業後は計画通りに進むことはまずないので、計画などは柔軟にUPDATEしていくことを前提に考えましょう。
1:事業計画の具体化
- 提供する商品やサービスの明確化
- ターゲット顧客の具体的な設定
- 収支計画の詳細な策定(最低3年分くらい立てておきましょう)
2:市場調査の実施
- 競合他社の分析
- 市場規模の把握
- 顧客ニーズの調査
3:資金計画の策定
- 必要資金の算出
- 運転資金の確保
- 資金調達方法の検討
ビジネス用の資金のほか、副業ではなく今までの仕事を辞めてチャレンジする場合は、生活資金も準備しておきましょう。最低6ヶ月分くらいの生活費の用意があるといいですね。
4:リスク管理の計画
- 保険加入の検討
- 緊急時の対応策
【個人事業主向け】起業前に確認すべき10のポイント
1:開業届の準備
- 税務署への提出書類の確認(手ぶらで行っても税務署で書類はもらえます)
開業届には屋号を書く部分がありますので、屋号はあらかじめ考えておきましょう。
2:青色申告の検討
- メリット・デメリットの理解(白色申告、青色申告どちらで開業するか決めておきましょう)
- 申請期限の確認
開業するなら断然青色申告をお勧めします!経営者としての会計知識も身に付きますし、青色申告の場合の税額控除は大きいですので。
3:記帳・経理の準備
- 帳簿の準備
- 経理ソフトの選定(freeeやマネーフォワードなど)
- 領収書管理の方法決定
4:健康保険・年金の切り替え
- 国民健康保険への加入手続き
- 国民年金への切り替え手続き
パートナー(夫や妻など)の扶養の範囲内で個人事業主として小さく起業する場合には切り替えは不要です。
5:事業用口座の開設
- 事業専用の銀行口座開設
- キャッシュフロー管理の方法決定
6:屋号・商標の検討
- 屋号の決定と検索
- 必要に応じた商標登録
同じ業種で同じ屋号がないかチェックしましょう。
7:営業許可の確認
- 業種別必要許可の確認
- 申請手続きの準備
8:作業場所の確保
- 自宅開業か賃貸か検討
- 必要設備の洗い出し
9:確定申告の理解
- 必要書類の把握
- 申告時期の確認
10:労働保険の加入検討
- 特別加入制度の理解
- 加入手続きの確認
【法人向け】起業前に確認すべき10のポイント
1:会社設立の基本事項
- 会社形態の選択(株式会社・合同会社等)
- 定款の作成
- 資本金の決定
2:登記申請の準備
- 必要書類の収集
- 登録免許税の確認
- 司法書士への依頼検討(自分で登記してもOK)
3:役員構成の決定
- 取締役の選任
- 監査役の必要性検討
4:社会保険の手続き
- 健康保険・厚生年金の加入
- 雇用保険の加入
- 労災保険の加入
5:税務関係の整備
- 法人税・消費税の理解
- 税理士との顧問契約検討
6:会計システムの構築
- 会計ソフトの選定
- 経理規程の作成
- 記帳ルールの設定
7:従業員採用の準備
- 就業規則の作成
- 旅費出張規程の作成
- 給与規程の整備
- 募集計画の策定
8:オフィス環境の整備
- オフィス物件の選定
- 必要備品の洗い出し
- 通信環境の整備
9:知的財産の保護
- 特許・商標の出願検討
- 企業秘密の管理体制構築
10:コンプライアンス体制
- 法令順守体制の構築
- 内部規程の整備
- 個人情報保護対策
起業後の心得:成功への3つのキーポイント
PDCAサイクルの徹底
計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクルを常に意識し、事業の改善を継続的に行いましょう。 できるだけこのサイクルをスピーディーに回していきましょう。特に起業当初は「実行」してみないとわからない部分も大きいですので、失敗を恐れずに全ての段階をスピード感をもって回していくことが大事です。
ネットワークの構築
同業者や異業種の経営者とのネットワークを積極的に構築し、情報交換や協力関係を築いていくことが重要です。
学習の継続
経営環境は常に変化します。新しい知識やスキルの習得を怠らず、自己研鑽を続けることが成功への近道となります。
おわりに
起業は確かにチャレンジですが、適切な準備があれば、リスクを最小限に抑えることができます。このチェックリストを参考に、一つ一つ確認しながら、着実に準備を進めていってください。
そして最も大切なのは、起業後も学び続ける姿勢を持ち続けることです。今の時代、環境はどんどん変化していきますので、その変化に柔軟に対応しながら、自分の描いた夢の実現に向けて、一歩一歩前進していきましょう。